破産前に住宅契約金詐取(中日新聞記事)

 5月11日付けの中日新聞朝刊に掲載されていました記事をご紹介させていただきます。

 

愛知県警、容疑の社長逮捕 20件7億円超か

 

 経営破綻が見込まれていたにもかかわらず住宅販売の営業を行って契約金をだまし取ったとして、愛知県警捜査二課と刈谷署などは10日、詐欺の疑いで、2021年11月に破産手続きを開始した住宅販売会社「アポロホーム」(同県尾張旭市)社長の永指秀明容疑者を逮捕しました。

 逮捕容疑では同年9月18日、アポロホームが債務超過の状態にあり住宅建築の意思や能力がなかったにもかかわらず、同県知立市の女性会社員(28)に「今回の住宅建築工事の総額は1千万円、契約金は50万円です。来月から土地工事が始まります」とうそを言い、同月21日、指定口座に50万円を送金させてだまし取ったとされています。

県警は認否を明らかにしていません。

 県警は、破産が理由でアポロホームから顧客に住宅が引き渡されなかった事例を、少なくとも約20件把握している。

これらの契約で同社に支払われた額は、合計で約7億5千万円に上るとみられます。

 県警によると、12年に設立された同社は18年ごろから取引先への支払いが滞るようになり、資金繰りが悪化しました。

破産申し立て時点での借入金や未払い金の総額は約7億円でした。

 

被害者「破産しそうか見分けつかず」

 

 「消費税のかからない土地代の中に、消費税のかかる建物代金を含めれば、税金を浮かせられる」。

アポロホームは、こうしたうたい文句を駆使した営業で顧客を獲得していました。

県警は「節税をかたった取引によって契約金をだまし取られた」という趣旨の相談が複数寄せられており、本誌の「YourScoop(ユースク)」取材班も昨年2月、同社が破産前に相場より高く土地を販売する営業を繰り返していたことを報道しました。

 今回の事件で50万円をだまし取られた女性は、土地代として3千万円、建物の契約金として50万円を支払いました。

その後に同社が事業を停止したため家が建つことはなく、安く土地を手放すはめになったといいいます。

 永指容疑者の逮捕を受けた本誌の取材に「住宅は初めて買うという人がほとんど。不動産のことをよく知らない人をだます手口は悪質だ」と憤り、「どの業者が破産しそうかなどを見分けるのは難しい。悪徳業者はなくなってほしい」と訴えました。